チームでつくる、感動経営のレシピ(43)『愛情を、どうやって伝えていますか?』

もくじ

息子のハンディキャップ

18年前にもらった1通の手紙が、今でも私の心を支えてくれています。私の息子は、先天性高度難聴というハンディをもって生まれてきました。

聴こえにくいということは、音による情報をつかめないという一次障害だけでなく、言語が育ちにくいという二次障害、それによって、コミュニケーションに問題がでてくるという三次障害が出てくると知りました。

医療ではどうしようもないけれど、教育で、お母さんさえ頑張れば、言語が獲得できると言われました。

“私さえがんばれば・・・。”その言葉を希望に、私は、懸命にがんばり始めました。が、半年ぐらい経ったとき、糸がきれました。

息子のハンディを、一生懸命受け止めようとつっぱっていたけれど、本当はココロがぽきっと折れていていることに気付いたとたん、いいようのない不安や悲しみや恐れが押し寄せてきたのです。

そんな時に届いたのが、その手紙です。 

共感、理解、期待そして賞賛

私の状況を知った後輩からの手紙でした。

“つらかったね、大変な状況と知らず、これまで何も力になれなくてごめんね”というお詫びのメッセージの中に、彼の「共感」を感じました。

“あなたがどんなに○○くんのことを想っているか、痛いほどわかるよ”というメッセージの中に彼が「理解」してくれていることを感じました。

“無理しなくても、すぐに強くなれなくても、うまくいなかい時でも、焦らずじっくり取り組めば大丈夫。今はちょっとだけ張りつめた肩の力を抜いたらいいんだよ。あなたのことだから、いずれきっとうまくいく。”というメッセージの中に彼の「期待」と「賞賛」を感じました。

そして、“愛情が、どんな風に伝わるか、あなたは知っているでしょう。だいじょうぶ。”と手紙は締めくくられていたのです。

圧倒的な愛情を、恩送り

後に、コーチングを学び、「理解」、「共感」、「期待」そして「賞賛」。

その4つのメッセージをもって、感じたことや想いを率直に表現し、私はこう想うよ。こう感じるよ。というメッセージを送ることが「承認」であり、そういう本物の承認は、相手を勇気づけ、動かし、行動させることを知りました。

それを勉強した後で、彼の手紙を読み返すと、そこには見事にそのすべてが盛り込まれているのです。

そして私は間違いなく、息子のハンディがわかってから、どうしていいかわからなくなった初めての暗闇の中で、この手紙に勇気づけられ、また新たに、行動を起こし始めることができたのです。

あたたかな愛をもらうことで、自分の中にある愛を取り戻した経験でした。してもらったことは、してあげられるようになる、と私は思うので、わたしもこの圧倒的な愛情を、できるだけ出逢った人に、恩送りしていきたいと思っています。

あなたが、周りの人にしてあげられること。それは何でしょうか・・・。

【感動経営のための質問】

「もらってきた愛情は、どんな愛情ですか?」

 

この質問を、ぜひご自身に問いかけてみてください。何か気づいたことがあれば、是非、行動にしてみてください。気づくことも大事ですが、行動することがもっと大事です。